【PLANTALK Vol.2】 前編 〜リアル(畑)とITのコラボがアーバン・ファーミングの未来を変える〜 アーバンファーマーズクラブ 小倉 崇× PLANTIO CEO 芹澤 孝悦 対談インタビュー

PLANTIO official
2018-12-21

仕事の拠点を置く渋谷区で、ビルの屋上に畑や田んぼを作り、アーバン・ファーミングを実践している小倉崇さん。出版・広告の仕事を本業とする小倉さんが、アーバン・ファーミングに目覚めたワケとは?そんな小倉さんが作る都会の菜園に、PLANTIOはどう関わっていくのでしょうか。

ビルの屋上で野菜作りを始めたら
ライフスタイル自体が変わった!

小倉 初めて芹澤さんとお会いしたのは、渋谷区のイベントの報告会でした。2017年6月から始まった「渋谷おとなりサンデー」の。

芹澤 そうでしたね。普段は隣りの人が何をしているかわからない渋谷で、「せっかくのお隣りさんどうし、一緒に何かやりましょう」という、コミュニティ形成を目的としたイベントでした。

小倉 報告会に出席していた知り合いから「面白い人がいるから紹介したい」って言われて、お会いしたのが芹澤さんで。話を聞いたら、「テクノロジーでコミュニティを作りたい」とか、「AIを搭載したプランターを作っている」とか。僕は、テクノロジーのことはさっぱりわからないけれど、面白いな〜、すごいな〜って思いながら聞いたことを覚えています。それで、何か一緒にやれたらなって思ったんですよね。

ビルの屋上を見るたびに、もったいないスペースだと感じていたという小倉さん。「屋上に畑や田んぼを作るようになってから、どの屋上も、もはや菜園にしか見えません(笑)」。

芹澤 小倉さんがすでに始めていたアーバン・ファーミングは、僕らPLANTIOが目指すところでもありますから。

小倉 「渋谷の人たちを、みんな農家にしたい」って言っていましたね(笑)。

芹澤 そのために何をしたらいいのか、模索しているところです。どうしたら、みんな野菜作りに興味を持ってくれるのかなって。

そもそも、小倉さんがアーバン・ファーミングを始めようと思ったきっかけは何だったんですか?

小倉 3.11の東日本大震災でした。都内のスーパーやコンビニの棚から物がなくなって、買おうと思っても買えない状況を目の当たりにしたときに、「いくらお金を持っていてもダメだ。食べ物を生み出している人が一番の強者だ」って気づいたんです。

それをきっかけに農に目覚めて、全国の農家さんを取材するなかで、神奈川県相模原市で自然栽培で野菜を育てている農家さんに知り合ったんですよ。そして2014年、彼らと一緒に「ウィークエンド・ファーマーズ」を立ち上げました。


写真:小倉(後段左端から二人目)と油井(後段正面紫のTシャツ)を中心にweekend farmersを結成。相模湖の畑で初めて開催した『とうもろこし祭り』の参加者たちと。

芹澤 相模原の農家さんと、渋谷でのアーバン・ファーミングにどんなつながりが?

小倉 相模原の農家さんの話を聞くうちに、こんなに一所懸命野菜を作っているのに、オーガニックだとこんなに経営が厳しいんだという現実を目の当たりにして。「何とかして、彼がメシを食えるようにしてやりたい!」って、僕の中でスイッチが切り替わっちゃったんですよね。

同じころ、知人を通じて「渋谷のビルの屋上を使っていいよ」という話があったので、「じゃあ、プロの農家に指導してもらいながら、渋谷で野菜作りをしてみよう」って。

芹澤 「渋谷の農家」のキャッチフレーズで、渋谷のビルの屋上に畑や田んぼを作っていきましたよね。衝撃でした。こんな場所でも、畑や田んぼになるんだって。


「ロンドンが2012オリ・パラ大会をきかっけに導入したキャピタル・グロースのシステムなら、もっと気軽に、空き時間に野菜作りを楽しんでもらえる」という小倉さんに、「1人1区画ずつ、区画を区切った菜園のあり方を見直すべき。みんなで一つの菜園を作ればいい」と芹澤。

小倉 やっぱり、プロの農家に指導してもらえるのは大きいですよ。わからないこと、うまくいかないことがあったら聞けるから。結果、彼の収入は出会ったころの3倍になって、僕はミッション一つを終えたなと思ったんです。

でもね、そのうち参加していたメンバーがそれぞれ、自分の家でも野菜作りをするようになったんですよ。「渋谷でもこんなおいしい野菜ができるんだったら、自分も作ってみたい」って思ったみたいで。

芹澤 素晴らしいですね! ライフスタイル自体が変わったということですね。

写真:渋谷・道玄坂ラブホテル街のど真ん中にある「TSUTAYA O-EAST」屋上での畑の様子。ここでは、野菜だけでなく、使用済みのペットボトルを使った『渋谷の田んぼ』も作り、初年度はお茶碗30杯分の米を収穫した。

小倉 僕もそのメンバーたちも、少し前までは完全に夜遊び派だったのに、みんな今では、「休みの日には朝早く起きて、草むしりや野菜のお世話をして、ランチにビールを飲むくらいがちょうどいい」って。それが一番新しいパーティーだって(笑)。

芹澤 それだけ、野菜作りが楽しかったんですよ(笑)。僕らPLANTIOも、都市部に住む人たちに、そんなふうに「野菜作りって楽しい」って思ってもらえる仕掛け作りを、いろいろしていきたいと考えているんです。

小倉崇(おぐら・たかし)

編集者、クリエイティブ・ディレクター。出版・広告業界で働く一方、日本全国の有機農家を取材する農業ライターとしても活動。2015年、「育てて食べる畑の八百屋」をキャッチフレーズに「weekend farmers」を結成し、渋谷のビルの屋上で菜園を始める。2018年2月、オーガニックな都市的農型ライフスタイルを目指して「アーバンファーマーズクラブ」を立ち上げ。渋谷、原宿、恵比寿の4つのビルの屋上などに、菜園をオープンさせる。

https://www.facebook.com/cultivatethefuture/