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捨てないものづくり!? 野菜栽培をサポートするIoTセンサー「grow CONNECT」製造工場に潜入!

grow official
2023-04-15

持続可能な「食」と「農」を実現する、シェアリングIoT農園「grow FIELD」に設置されている、IoTセンサー「grow CONNECT」。スマホアプリ「grow GO」と連携し、野菜栽培に必要な情報をお知らせする、growの中核を担うテクノロジーです。

grow CONNECT使用風景
東京・大手町のシェアリングIoT農園「The Edible Park OTEMACHI by grow」のgrow CONNECT。ケールの畑を見守っている様子に、どこかぬくもりを感じます

目次

  • grow CONNECTの特徴
  • いよいよ組み立ての現場に潜入!
  • ひとつひとつ丁寧につくられた「MADE IN JAPAN」
  • 「捨てないモノづくり」を実践


grow CONNECTの特徴

grow CONNECTは野菜栽培をサポートする、6つのセンサーが1つになったgrowオリジナル開発のIoTセンサー。照度計、外気温計、外湿度計、土壌水分量計、土壌温度計、そして超広角レンズ搭載のカメラが1つになっています。

6つのセンサーが1つになったgrow CONNECT

バッテリーとWi-Fiを搭載しており、アプリ「grow GO」へ計測した値や画像を送信することで、農園から離れた場所にいても野菜の状態が把握できるスグレモノです。

grow CONNECT
野菜栽培を的確にサポートするために考えぬかれた、特徴的な形状。優しい曲線が畑やプランターにもよく馴染みます

土との密着度を高めるために斜めに伸びた土壌センサーや、屋外での使用に耐えられる防水品質など、様々なこだわりが詰まっています。しかし、この形状や防水品質が、組み立てや加工の難易度を高める要因にもなっているため、国内の工場でひとつひとつ手作業で丁寧に組み立てる必要があるのです。

そんなgrow CONNECTはプランティオだけではなく、多くの方々や会社の協力を得て開発・製造されています。今回は開発・量産化にご協力いただいている株式会社Shiftall(シフトール)さんと共に、組み立てをご担当いただいている日本国内にある製造工場に潜入してきました。組み立ての様子や、growのプロダクトとしてのこだわりをお届けします。


いよいよ組み立ての現場に潜入!

grow CONNECTの組み立てライン。5名のチームでひとつひとつ丁寧に組み立て・検査が行われています

工場では様々な製品の組み立てが行われていて、grow CONNECTの組み立てラインはそのうちの一角にあり、今回は1000台分の組み立てが行われています。

grow CONNECTの組み立てには、様々なハードルがあります。1つは「特殊な形状」。斜めに伸びた土壌センサーは、破損しやすかったり、支える台がないと転がってしまったりと、手作業で組み立てるのもひと苦労。

斜めの形状の部品を正しく接合するため、今回の組み立てのために作られた特別な治具(組み立て台)にセットし、ひとつひとつ目視で確認しています

また、6つのセンサーとバッテリーは、本体内にぎっしりと詰まっているので、本体に水がかかったりしても、センサーが濡れたり、カメラが結露したりしないよう、様々な防水のための工夫が施されています。

カメラの下の部分にセンサーやバッテリーがぎっしり!細かい作業で基板やセンサーを丁寧に接続していきます

一つひとつ丁寧につくられた「MADE IN JAPAN」

このように、中身のぎっしり詰まったデジタル製品であるgrow CONNECTですが、野菜栽培をサポートするツールとして、屋外の農園という過酷な環境での使用に耐えうる仕様でなくてはならないため、防水性能を高めるために様々な工夫が施されています。

一般的に部品同士を接着する際はパッキンや両面テープを用いますが、屋外使用で、さらに土壌センサーの部分を露出させる必要のあるgrow CONNECTに対しては、それだけでは不十分。例えば給電のためのUSB−Cコネクタからの浸水対策には、「防水シーリング」という方法を採用しています。

差込口付近のすき間をシーリング材で埋めることで浸水を防いでいます

また、部品同士の接着や基板の保護には「超音波溶着」や、「ホットメルトモールディング」といった強固で防水性能の高い接着手法がとられています。

照度センサやカメラをカバーする窓は浸水を防ぐため、「超音波溶着」を採用

特に「防水シーリング」や「ホットメルトモールディング」は、塗布量や硬化時間のコントロールや、専門工場での加工が必要になるなど、技術的な難易度が高くなったり、生産工場が限定されてしまうため、製造工程では敬遠されがちな手法。加えて、一つひとつ手作業で行う必要があるため、高い技術が求められます。

水が直接触れる基板を樹脂でコーティングして保護する「ホットメルトモールディング」

こうして一つひとつ丁寧に組み立てられたgrow CONNECT。最後に、出荷前に機能に問題がないかのテストを行います。

テスト中のgrow CONNECTを見つめるShiftallの横田さん(右)と、出荷テスト担当者さん
今回の立ち合いにはプランティオ日野原さん、Shiftall横田さん、そして工場の製造部のみなさんが集まりました。普段はオンラインでのやりとりですが、現場で顔を合わせて状況を確認できるとやはり安心です!

無事出荷テストを通過したgrow CONNECTは、梱包され、出荷を待ちます。

テストを通過したgrow CONNECTは手作業で丁寧に梱包されます
箱には「MADE IN JAPAN」の文字!

このように、MADE IN JAPANならではの丁寧な工程と質の高い技術によって、grow CONNECTの製造が可能になっているのです。


捨てないモノづくりを実践

さらに、grow CONNECTは製造工程でもできる限り環境負荷を軽減できるような取り組みを実践しています。通常の工業製品では、出荷前のわずかな汚れや傷、凹みなどは規格外品として破棄されてしまいます。(スーパーに出荷される野菜と同じですね)

しかし、長年工業製品の開発や製造を手掛けているgrow CONNECTの開発リーダーの日野原さんは、ふと「本当に破棄するのが正しいのだろうか?」と思ったそうです。

grow CONNECT 開発リーダー・プランティオ株式会社 日野原 錦さんのコメント

”今回の製造の際に、基準に満たない部品が納品されてきたと工場から連絡が来ました。僕は当初、品質基準や契約を確認して、作り直しという判断をしました。ですが、その後何かがモヤモヤします。作り直しということは廃棄されるのか…。夜、布団で横になった後も、プランティオに参画してやりたかったものづくりってこんなだっけ?と自問自答が続きます。「やっぱリ違う!」と思い立って、前言撤回、手間はかかるけど何とか捨てずに受け入れる方法を一緒に考えてほしいと連絡しました。試験などをして機能に影響がないことを確認し、次回以降は同様の問題が発生しない裏取りを行い、なんとか受け入れることができました。”

growというブランドとして、持続可能な「捨てないモノづくり」を実践するため、今回は通常、規格外品として扱われる部品も機能に問題がないか検査を行った上で製品として出荷されています。

筐体の小さな汚れ、土壌センサーのすり傷、電源ボタンのわずかな凹みなど、通常は破棄されてしまう部品も、できるだけロスを少なくするために機能に問題がないことを検査した上で使用しています

もしgrow FIELDを訪れる機会があれば、こうしたちょっとした傷や凹みのあるgrow CONNECTを探してみてください。また、その際はぜひ、そうした部分を個性として愛でていただけたら嬉しいです。


grow CONNECTの製造工場の様子やエピソード、いかがでしたでしょうか。ご興味をもたれた方は、ぜひgrow CONNECTが使用されているシェアリングIoT農園「grow FIELD」に一度足を運んでみてくださいね!また、grow CONNECTを導入した農園を設置したい、といったお問い合わせも大歓迎です。