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木枯らし吹く秋風の晩に下町のワイナリーと未来の東京ワインに思いをはせる

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2022-12-01

「あなたは東京のワインを飲んだことがありますか?」

growから1通のメールが届いた。「おや?」 と思いメールを開くと、イベントタイトルが目に入った。

 ”東京のワイナリー×一流ソムリエのセッション 未来のワインをマイクロワイナリーと語る” ~ソムリエが選んだ深川ワイナリーのワインと軽食を楽しみながら~

東京のワイン?国産のワインというと、山梨や長野を思い浮かべるが東京のワインは聞き慣れない。

都心にあるビルの屋上で栽培したぶどうで、東京のマイクロワイナリーが醸造。これは面白そうだ。日程は11月25日(金) 、筆者はすぐに参加を決めた。後日聞くと、チケットは瞬く間に完売となったようだ。

今回は、大好評となったイベントの様子をレビューする。 

都心ビル屋上でのぶどう栽培

場所は grow が手掛ける 大手町ビルの屋上にある都内最大級のシェアリングIoT農園 ” The Edible Park OTEMACHI by grow “「都会に新しいコモンズを。」をコンセプトに掲げる、シェアリング型IoT農園だ。


大手町ビルの9Fまでエレベーターで上がり、階段を上り、扉を開く。すると、都心部とは思えない広々とした農園が広がる。

それにしても、さすがビルの屋上。ビル風が強く吹き抜ける。

本日の会場となる大手町ビル屋上の農園

growは大手町以外にも、都心部を中心に全国でシェアリング農園を展開している。これは従来の区画貸しではなく、地域の共有財産として、農園を営み、紡いでいく新しいスタイル。「所有」や「占有」という旧来の価値観ではなく、農園全体をみんなでシェアし、農的活動の楽しさも、辛さもみんなでシェアをしていく。

そのgrowが手掛ける大手町の農園には多くの野菜が育てられれおり、その横にぶどうの木が栽培されている。なぜぶどうか?と思ったが、屋上は風通しがよく、病気になりにくいため、ブドウ栽培には非常に適しているとのこと。風通しがないと湿気がたまり、病気になってしまうようだ。その為、都心屋上では、ぶどう栽培が適している。

明るいうちに撮影したぶどうの木

コミュニティハブとしての農園

この、ぶどうの木を施工管理しているのは竹中工務店というから驚きだ。竹中工務店の蓑茂氏はこう語る。
「竹中工務店として、既に確立している都市緑化技術を活用しつつ、東京の屋上でもぶどう栽培ができるのではないかという点に加えて、growと組んだコミュニティの場としての実装が可能なのではないか、という仮説を実行している。」

聞くと、ニューヨーク ブルックリンでは屋上農園そのものがコミュニティのハブとなり、エリアの価値に繋がっているとのこと。結婚式などのイベントも農園で開かれているようだ。
確かに、筆者も同じビルで働いている人とは、エレベーターで一緒になり、顔はなんとなく知っているが話すことはまず無い。そのように人との繋がりが希薄な都心部では、屋上でのコミュニティ農園は、普及していくことは間違いないと感じた。

香り高く繊細な東京ワイン

トークセッションの会場である大手町ビル内 7Fに移る。ドアを開けた瞬間、食事の良い香りが広がる。ワインとそれにあったマリアージュが用意されていた。
今回は食前酒を含めて全部で3種類。赤/白/スパークリング。もちろん全て東京産であり、それぞれに最適な食事のペアリングが用意されている。

ワイン選定とペアリングは、有名ソムリエの斎藤氏によるものだが、乾杯はスパークリングではなく、白ワインで行うとのこと。「おや?」と思ったが、これには理由があった。

「今回用意している深川ワイナリーのナイアガラが香り高いものになっているので、2番目に提供させていただく。」と、斎藤氏。
なるほど、香りを楽しむための計らいか。こういった説明がソムリエから直接されることも、このイベントの魅力のひとつだ。

齋藤氏は元々、有名ホテルでソムリエとして活躍し、その後独立。飲み物に関わることはワインに関わらず何でも取り組んでいたとのこと。確かに、話を聞いていても視座が高いと感じる。
様々なことに取り組むことによって広い視野、色んな目線を持てるようになったとのこと。現在は、山梨のワイナリーにてオリジナルのワインを作っているようだ。

深川ワイナリーのマイクロワイナリーとしてのこだわり

白ワインで乾杯し、さっそく初めての東京ワインを頂く。一口飲むと口の中にフレッシュなぶどうの香りが広がる。驚くほど香り高い、フルーティな白ワインだ。それに合わせる柑橘のサラダは、甘みと酸味を更に引き立てる組み合わせとなっている。実に美味しく、感動した。

この驚くほど美味しいこのワインは、東京都の下町・門前仲町に2016年6月に出来た小さなワイナリー「深川ワイナリー東京」で醸造したワインだ。可愛いキャラクターがキャッチーなアイコンとなっている。

1杯目の白ワインに続き、2杯目にスパークリングワインを頂く。非常に炭酸が効いており、なんといっても甘い!
糖度が通常だと18度程度なのが、これは21度もあるとのこと。加えて、相変わらず香り高い仕上がりとなっている。恐るべし、東京ワイン。恐るべし、深川ワイナリー。

深川ワイナリーの上野醸造長曰く、深川ワイナリーでは、人の手で仕込みと醸造を行い、更に無添加とのこと。
機械や添加物の介入が最小限に抑えられており、完全に自然なワインに近い。確かに、この丁寧で繊細な味わいは、手作り・無添加から来ているのだと納得した。

これらの考えは、深川ワイナリーの “自分の身体に外的なものを入れたくない” という理念からきているとのこと。
しかしながら、実際に無添加でのワイン醸造はかなり難しいようだ。それを都内で実現できていること自体がかなり凄いことだと、齋藤氏は語る。

また、ワインはビールなどと異なり、手間がかかるようだ。ビールは蓋を占めてロジカルに進めることができる。だが、ワインは蓋をあけて、しめて、あけて、の繰り返しとなるようで手作りのマイクロワイナリーだからこそ、良い味わいが出せる。

最後に3杯目の赤ワインを頂く。筆者はこれが一番お気に入りとなった。フレッシュながらも深みがあり、タンニンが豊富な印象を受け、フルボディかと思うコクと余韻を感じる。斎藤氏曰く、これでもミディアムボディとのこと。確かにフレッシュさは残る。

フードマイレージと日本のワイン

ワインが進み、会場も活気に満ち溢れてきたところでトークセッションも佳境を迎える。

フードマイレージとは、食料の生産地から消費者の食卓に並ぶまでの輸送にかかった「重さ×距離」で表される指標とのこと。この数字が大きくなればなるほど環境への負荷がかかり、特にワインは世界各国から日本へ輸入され、そのフードマイレージは残念ながら非常に高い傾向にある。


これら、フードマイレージ減少のために必要なことは「育てる場所」と「食べる場所」を限りなく近くすることであり、growの取り組む「アーバンファーミング」(マイクロファーミング)はまさにその最適解となり得る。

今回のイベントで筆者が感じたことは、日本のワイン、特に東京産のワインも十分美味しく、海外のワインに劣っていないという点だ。
コロナや円安の影響もあり、マイクロツーリズムはじめ国内の地産地消が改めて評価されつつある中で、日本のワインが改めて再評価されているとのこと。

左から、竹中工務店 蓑茂氏、grow 芹澤CEO、ワインソムリエ 齋藤氏、深川ワイナリー東京 上野氏

今回、屋上農園でのふどうの木がまだ小さく、ぶどうは実っていなかったが、2年後には実をつける。
みんなでぶどうの木を見守りながら、それがワインになっていくのを目で見て、手で感じ、実際に味わう。そんな五感を通じて楽しむことができることに加えて、フードマイレージの低減にもつながる。

都会の真ん中にある農園の屋上で風を感じ、環境問題にも思いをはせる素晴らしい夜となった。

growの運営する The Edibile Park OTEMACHI では、定期的にこのような魅力的なイベントを定期的に開催している。growのイベントは毎回大盛況となり、チケットはすぐに完売するようだ。是非、SNSをフォローするか、メールマガジンを購読することをお勧めする。

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ライター / 篠田